カストラーゼ刑務所に潜入した一行は、西側の塔へと辿り着いた。その後、幾度か発見されそうになりながらも、どうにか目指す西側の塔の最上階に到着していた。
 階段の陰から最上階のフロアの様子を、先頭のルカが確かめると、数メートル先に、警備室らしき部屋があり、ゲートが設けられていた。一名の刑務官が、警備室の中にいて、二人の刑務官がゲートの前に立っている。
 ルカは、背後の揚羽を振り返ると、首を振った。
「アゲハ。今度こそ、奴らを倒さなければ、先には進めそうも無い」
 揚羽も同じように階段の陰から、様子を伺い、ルカの言っていることが間違いないのを確認した。天井には、監視カメラと思われる装置が、一台あるのも見える。
 揚羽は、持っていた小銃に麻酔弾が装填されている事を確認して、消音器を装着した。そして、ルカを後方に下がらせて、物陰から銃口を刑務官たちに向けた。
「……」
 銃口を下ろして、物陰から後退した揚羽は、後ろのルカに言った。
「警備室の中の一名は、障害物があって、狙いがつけられない。ゲートの前の刑務官を倒したら、すぐに接近して倒す必要がある」
 後方にいた山本は、心配になって前にやって来た。
「揚羽、どうした?」
「警備が三名います。この三名を排除しなければ、先には進めそうもありません。しかし、一名は部屋の中にいて狙いがつけられない為、接近して対応します」
 山本は、小銃を構えると、揚羽に頷いた。
「分かった。私が飛び込んでもう一名を倒す役を引き受ける。お前は、ゲートの前の二人を撃て」
 そこで、ルカは山本に話しかけた。
「玲、私がやる。あなたは、デスラー大使の警護をしていて欲しい」
 山本は、ルカと揚羽の顔を交互に眺めた。どうやら二人は、互いを深く信頼しているらしい。互いの顔を合わせて、飛び込むタイミングの確認をしている。
「ん……。そ、そうか。なら、二人に任せる。ヘマはするなよ」
 後方に下がった山本は、再びランハルトとケールの背後に回った。ランハルトは、山本に声をひそめて言った。
「あの二人なら大丈夫だろう。そうでなければ、ここへは連れて来ない」
 山本は、不安そうな表情を隠そうともしていなかった。
「確かに、息もぴったりのようだけど、さっきのことがあったから不安だ」
 ランハルトは、ため息をついた。
「何?」
 怪訝な表情の山本に、ランハルトは、微笑している。
「いや……。俺も、前はそうだったのかな、と思ってな。部下を信頼して任せるのも、上の人間の役割だ。いざとなれば、俺たちで彼らをフォローすればいい」
 山本は、この人は、こんな人だっただろうかと訝しんだ。慇懃無礼で、誰も信用していないような態度だったこの人は、いつしか変わっていたようだ。
 ケールは、そんな二人のやり取りをにこにこして見つめていた。
「成長しましたね! 大使!」
 ランハルトは、軽口を叩くケールをじろりと睨みつけた。
「ご、ごめんなさい……。調子に乗りました。でも、大使の言う通り大丈夫ですよ。今も、嫌な予感はしていませんから」
 山本は、先を何となく見通す力を持つケールを不思議そうに見つめた。
「そう? ……なら良いんだけど」
 彼らの先では、揚羽が腹這いになって小銃の狙いをつけていた。そして、彼の脇でルカは屈み、その背中を叩きながら数を数えた。
「三、二、一……」
 揚羽は、即座に引き金を引いて、照準器で捉えた監視カメラを破壊した。そして、すぐに右側の刑務官に狙いをつけると、その首筋に麻酔弾を撃ち込んだ。
 撃たれた刑務官は、突然の首筋の痛みにわずかに呻いたが、身体がふらついている。隣の左側に立っていた刑務官は、同僚の異変に気づいて、横を向いた瞬間を揚羽の銃口は捉えていた。続けて撃たれた左側の刑務官も、身体がふらつき始めている。
 その瞬間、ルカは、一気に駆け出して、警備室へと身体を低くしたまま飛び込んで行った。
 警備室の開け放たれた入口に飛び込んだルカは、身体を横に回転させて、狙いをつけた。そこでは、驚いた刑務官が、椅子から立ち上がって警報装置に手を触れようとしていた。ルカは慌てずにその首筋に、麻酔弾を撃ち込んだ。
 小さく呻いたその刑務官は、再び椅子に倒れ込んだ。そして、揚羽が撃った刑務官二人も、既に床に倒れ込んでいる。
 揚羽は、急いで倒れた刑務官のそばに駆け寄ると、二人が完全に意識を失っていることを確認した。彼がルカの方を見ると、彼女も同じように確認を終えていた。
 山本とランハルトたちは、その様子を確認して、物陰から急いで飛び出して来た。集まった一行は、状況を確認して頷き合った。
「監視カメラを破壊したので、映像が途切れたのに気づかれたら、警備員がここへ来るかも知れません。急ぎましょう」
「分かった。ゲートを開けてくれ」
 警備室にいたルカは、辺りを見回して、ゲートの開閉スイッチと思われるボタンを探した。そして、それを見つけた彼女がボタンを押すと、ゲートのロックが外れた音がした。ゲートは、金属音をあげてゆっくりと開いて行く。
 一行は、ゲートを抜けて、中へ入り込み、円形の通路を小走りに進んで行った。しばらく進んだところで、一行の先頭にいたルカは、立ち止まって辺りを見回した。
「どうしたの?」
 揚羽は、ルカに尋ねた。
「おかしい。このフロアは、他の階と構造がかなり違うようだ。まず、吹き抜けになっていた中央部分が壁になっている。それに、扉が一つも無い」
 揚羽は、少し考え込んでいた。
「うん。確かにおかしいね。そういえば、ザンダルは特別待遇を受けているとケールさんが言っていたね」
 ランハルトたちと山本が二人に追いつき、その疑問にケールが答えた。
「はい。特別待遇と言うのは、そのことです。この円形の通路の内側の壁の中が、ザンダルが捕らえられている部屋です。随分、広い部屋をあてがわれているみたいです」
 ランハルトは、その話をしばらく考えていたが、やがて口を開いた。
「まあいい。行ってみれば分かるだろう。まずは、入口を探すんだ」
 一行は、再び壁伝いに通路を早足で進んで行った。
「あった」
 ルカは、ゲートの反対側辺りで、ようやく扉があるのを見つけた。
 一行は、素早く扉の周囲を取り囲んだ。そして、揚羽は、頭上を見回した。
「監視カメラは……無いか」
 ランハルトは、ルカに尋ねた。
「中の様子は分かるか?」
 ルカは、頭を振った。
「駄目です。中は見えません」
「なら、開けて見るしかないな。やってくれ」
「了解……!」
 揚羽と山本は、小銃を構えると、緊張した面持ちで扉を睨んだ。
 ルカは、扉の側面についたスイッチを押し、静かに扉が開いた。
 しかし、扉の向こうの二メートル程先には、大量の箱が、びっしりと積み上げてあった。一行は、呆気に取られてその箱を見つめたが、何の荷物が入っているかは分からなかった。
「箱の向こうを確認しよう。先へ進む」
 ルカは、あまり動揺せずに、すぐに箱に沿って先へと足を運んだ。
 そして、大量の箱を避けて、更に奥へと進むと、ルカは意外な光景を目撃した。
 部屋の内部は、まるで作戦指揮所のような場所だった。
 ガラスで仕切られたその場所の内部は、周囲の壁に、多数の大型ディスプレイが設置されており、中央のテーブルには、いくつもの資料が散乱している。 
 そのテーブルの奥に、その男は黙って座っていた。
 ルカは、男に見られたと判断して、小銃をその男に向けると、素早くガラスの仕切りの内部に入って行った。その後ろから、周囲を警戒しながら、揚羽も入って行く。
 男は、銃口を向けられても、特に動じることも無く、そのまま黙って座ってこちらを眺めていた。
 やがて、ランハルトらと山本も後からそこに入って行った。
 ランハルトは、その男の前に出ると、静かに言った。
「……あんたが、ザンダルだな?」
 男は、目を閉じて両腕を広げた。
「いかにも。私がザンダルだ。君たちは、地球連邦とガミラスの者たちだね?」
 すると、その言葉を待っていたかのように、周囲から銃を持った男女が、ばらばらと現れ、ランハルトたちを囲んだ。
「くっ……!」
 山本は、咄嗟にランハルトを守ろうと前に出て、彼らに銃口を向けるが、相手の数が多過ぎた。ランハルトは、山本の小銃を手で抑えると、皆に伝えた。
「山本一尉。止めておけ。皆、銃をおろせ」
 ルカと揚羽は、その言葉を聞いても、まだ銃を構えている。
「止めるんだ。おろせ」
 ランハルトが、低い声で続けるのを聞き、ようやく二人も、仕方なく銃をおろした。
 ランハルトは、ザンダルの方に向き直ると、特に焦ることも無く、冷静に言った。
「……俺たちがここへ来るのを、最初から分かっていたようだな?」
 ザンダルは、にやりと笑うと、ランハルトの目を見つめた。
「お察しの通り。大司教のゴルイからは、君たちが来るかも知れないと聞いている」
 ザンダルは、ランハルトたちを取り囲む者たちに、手で合図すると、彼らは銃をおろした。
「これで、ゆっくり話せるだろう」
 ランハルトは、軽く会釈した。
「なるほど。そういうことか。私は、ガミラス地球駐在大使のランハルト・デスラー。他の者たちは、地球連邦と、わがガミラスの軍の者で、向こうからルカ、揚羽、山本だ。そして、この男は、私の秘書のケール」
 ザンダルは、彼らの顔を眺めて頷いた。
「始めまして……君は、久しぶりだな。ガミラスの大使と一緒にいると言うことは、無事にマゼラン銀河に辿り着けたんだな? リアン・ケールくん」
 ザンダルは、最後にケールの顔を見ると、薄く笑っている。
「……ご無沙汰しています。アレク・ザンダル将軍」
 そうおずおずと答えたケールを、ランハルトは睨みつけた。
「……おい。聞いていないぞ。ちゃんと、話してもらおうか」
 
 一行は、テーブルの座席につくと、奥に座るザンダルを囲んで話をした。
「彼の父親であるホアン・ケール大佐は、ガルマン帝国の軍人として、我々エトス軍の監視役として、この星にやって来た。そのケール大佐の妻は、イスガルマン人だった。その頃、私は彼らに極秘で、シャルバート教の信者を中心として、ガルマン帝国への反乱に賛同する者を集め、組織を軍の内部で作っていた。ケール大佐は、妻がイスガルマン人だったこともあり、ガルマン帝国に苦しめられて来たイスガルマン人や、帝国の併合した国々の人々の気持ちを理解してくれていた。ある時、私の計画が彼に見つかってしまったのだが、彼は軍に報告するのでは無く、むしろ協力してくれた。そうして、私の一番の理解者であり、大切な友人になった」
 ザンダルは、遠い目をして昔を振り返っている。
「ある日、密告があった。報告を受けた大司教のゴルイは、反乱組織のリーダーの一人だった私のことを知ると、非常に戸惑っていた。しかし、彼自身も、いつの日かエトス独立を考えていたので、私の気持ちは理解してくれた。しかし、この惑星はガルマン帝国軍の監視の目が厳しく、彼は苦渋の決断で、私たちの逮捕を指示するしか方法が無かった。その時、我々を逃がそうと暗躍したケール大佐とその妻は、ガルマン帝国軍によって暗殺されてしまったのだ。両親を失ったケール大佐のご子息のリアンくんは、逮捕されなかった我々の仲間が救い出し、二度と追手が来ない遠い星へと逃がすことになった。マゼラン銀河は、我々の故郷であると言うのは、シャルバート教に伝わる伝承でも、信者の間では有名な話だったので、そこに送り出すことになったと言うことは、私も聞いていた。こうして、再び会えるとは思わなかったがね」
 ケールは、ザンダルに深く会釈した。
「その節は、大変お世話になりました」
 ザンダルは、目を閉じて頭を振った。
「いや、あなたの両親が亡くなったのは、私のせいでもある。せめてもの罪滅ぼしだった。そう言ってもらえれば、私の肩の荷もおりるというものだ」
 ケールは、寂しそうな表情で言った。
「いいえ。両親は、ガルマン帝国の圧政から人々を救いたいと願って行動したのですから、本望だったと考えるようにしています。私は、この機会に、両親の想いを継げたら良いなと思っています」
 ザンダルは、笑顔を向けるケールに、にこやかに笑い返していた。
 ランハルトは、ケールの方を黙って見ていたが、そこまで聞いてようやく口を開いた。
「そんなことがあったのか……。早く言えば良いものを。それにしても、知り合いが居るのなら、ここに無理やり潜入する以外の方法があったんじゃ無いのか?」
 ケールは、にこやかに答えた。
「そう言われましても。あれから、どうなったのか、僕も知りませんでしたから」
 ザンダルは、そこでランハルトに真っ直ぐに向き合った。
「昔話はここまでにしよう。このエストラーゼ刑務所は、幸いにもガルマン帝国の手が及んでおらず、刑務官はエトス人しかいない。その上、ゴルイ大司教のお陰で、色々と便宜を図ってもらって、このような部屋を使わせてもらっている。様々な物資も供給されているので、何でもここで出来ると言う訳だ。私はここから出ることは出来ないが、各地に連絡を取ることは可能だ。君たちが、ガルマン帝国に密告する目的でここに来たのであれば、ここから生きて帰すことは出来ないが、そうでなければ、何でも答えてやれると思う」
 ランハルトは、ケールと顔を見合わせて頷いた。
「我々は、ガルマン帝国の圧政に協力するメリットは何も無い。むしろ、我々の信奉するイスカンダルの同胞であるイスガルマン人を助けたいとすら思っている。我々が、ガルマン帝国と同盟を結んでいるのは、ガトランティスと言う共通の敵を倒す為だけだ。どうか、信じてもらいたい」
 ザンダルは、背後に控えていた女性を振り返って確認していた。
「信じても大丈夫かね? 彼の言葉に嘘は無いかね?」
 その女性は頷いた。
「はい。特に嫌な予感もしません。信じて大丈夫でしょう」
 ケールは頷いたその女性の方を見て、不思議そうな表情になった。
「失礼ですが、あなたもガルマン人とイスガルマン人のハーフですか?」
 彼女は、静かに頷いた。
「はい。あなたと同じですよ」
 ケールは、にっこりと笑顔を浮かべた。
 
「……すると、今反乱を起こせば、帝国も反乱組織も、運命を共にすると言うのかね?」
 ランハルトは、静かに頷いた。
「そう。国内が混乱している状況では、ガトランティスに対抗するのは難しいだろう。今は、対立する勢力同士であっても一時的に手を組み、ガトランティスを倒すまでは協力すべきだ。ガルマン帝国が、ボラー連邦と同盟を結んだように。それほど、彼らの戦力は侮れない。私も、今は政治的な問題は棚上げにすべきだと考えている。それに、奴らの本当の狙いは、イスガルマン人の絶滅だと考えられる」
 ザンダルは考え込んでいた。
「そう言われても、それは難しい。我々としても、今は千載一遇の好機と捉えている。ボラー連邦とガトランティスにガルマン帝国軍の目が向いている今、かつて無い最大の反乱のチャンスが訪れている。今こそ立ち上がろうと言う機運は高まっているのだ。現に、先走った者たちが、惑星アマールを強襲したと言う事件も、その表れだ」
 ランハルトは、更に身を乗り出した。
「先日、アマールを襲った連中の戦力は、非常に乏しい物だった。ガトランティスの件が無くても、あのような艦船がいくらあっても、自滅する可能性がある。それでも、やるというのか?」
 ザンダルは、首を振った。
「確かに、民間の反乱組織のほとんどは、その程度の戦力しかない。しかし、我々の本隊は、ガルマン帝国軍から貸与された最新鋭の艦隊だ。ガルマン帝国に従っていると思わせて、組織の者が、艦隊を占拠すべく動いている。それが各地で、反乱を起こそうと、今か今かと待っている状況だ。ゲリラ戦で戦えば、決して負ける戦いでは無いと思っているよ」
 ランハルトは、ザンダルと睨み合って、互いの意志を確認した。ザンダルの目は、闘志を秘めていて、積年の恨みを晴らそうとしているようだった。
 ランハルトは、目を閉じてため息をついた。
「分かった。どうしてもと言うのなら、我々も無理に止めることは出来ない。だが、先程の話を、どうか覚えていて欲しい。ガトランティスの脅威を本当に感じたのなら、イスガルマン人はもちろん、皆を何処かへ逃がすと、約束して欲しい」
 ザンダルは、少し考えを巡らせていたが、それには頷いた。
「良いだろう。覚えておくよ。そうなったら、皆で逃げると約束するよ」
 そこまで話したところで、ランハルトは、自分の疑問について彼が知っているか、確かめてみることにした。
「ところで、少し教えて欲しいことがある。シャルバート教の伝説のことだ」
 ザンダルは、少し首を傾げた。
「伝説と言うと、マザーがいつの日か救いに来るというあれかね?」
 ランハルトは、大きく頷いた。
「そう。それだ。マザーは、ただ救いに来るのでは無い。かつて強大な力を持っていて、それと共にやって来ると言われているな? その正体については、あんたたちは掴んでいるのか?」
 ザンダルは、諦めたような表情になった。
「我々も、その強大な力の謎について、長年考えてきた。反乱の力になるのでは無いかと思ってね。それを専門に研究している信者も多い。しかし、謎は解けなかった。そのような物は、何処にも無いのかも知れない。私自身も信者だが、このようなことを言っては、仲間に怒られそうだがね」
 ランハルトは、彼が何も知らないと判断して、話を切り上げることにした。
「分かった。ガトランティスは、それを狙っているのでは無いかと考えていたんだが、思い違いかも知れない。ありがとう」
 席を立とうとしたランハルトを、ザンダルは止めた。
「待ちたまえ」
 ランハルトは、怪訝な表情で立ち上がりかけた腰を再び椅子におろした。
 ザンダルは、ランハルトを見ながら、何か考えているようだった。
「……参考になるか分からないが、伝承では、かつてマゼラン銀河からガルマン人とイスガルマン人の祖先が移住して来た時に、最初に居を構えた惑星があると言う」
「ふむ」
 ランハルトは、その話に少し興味を示した。
「その名を、惑星ファンタムと言う。その惑星の位置は、研究の結果、既に判明している。かつてガルマン帝国も、この伝承について気にしていて、そのような、兵器があるなら、接収する必要があると考えてのことだ。そうして、彼らも惑星ファンタムの調査を行ったことがある。しかし、何も見つからなかった。あるのは、かつて移民した際に建設された朽ち果て果てた廃墟があるだけだ。その結果、そのような物は無い、と言うのが長年の結論だ。しかし、今は反乱軍の組織の一つがそこにもいるはずだ。何かあるのでは無いかと、今でも探しているらしい」
 ランハルトは、暫しその話を考えた。
「その惑星の座標は?」
 ザンダルは、苦笑いしている。
「行ってみるのかね?」
 ランハルトは、大きく頷いた。
「本当にそんな物が存在して、間違ってもガトランティスに奪われることが無いようにな。念の為、確認しておきたい」
 
続く…